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『このヒーラー、めんどくさい』のジョークがめんどくさい件

『このヒーラー、めんどくさい』のジョークがめんどくさい件


アニメ『このヒーラー、めんどくさい』は可能性を秘めていますが、
ある大きな問題がコメディの面白さを大きく妨げています。

2022年春のアニメシーズンは、熱いミュージカルシリーズ『パリピ孔明』、よりシットコムに近い『阿波連さんははかれない』、異例なほど大盛り上がりの『スパイ×ファミリー』など、幅広いジャンルのコメディが登場し、視聴者は幅広いジャンルの中から選ぶことができるようになっています。

2022年春に放送が開始されたもう一つのコメディアニメが『このヒーラー、めんどくさい』です。
ダークエルフのヒーラー、カーラと剣士アルヴィンがファンタジーの世界で繰り広げるドタバタ冒険劇です。
しかし、一部の視聴者は、『このヒーラー、めんどくさい』のジョークの面白さが、アニメ全体のテンポの問題から、かなり薄れ始めていることに気づいているようです。

この『このヒーラー、めんどくさい』の基本的な造りは、単純ではあるが、十分な可能性を秘めています。
JRPGのような古典的な世界を舞台に、戦士たちはヒーラーを中心としたパーティを組み、クエストに挑み、凶暴な動物から幽霊や魔女まで、邪悪なモンスターや他の生き物と戦います。
しかし、カーラは典型的なヒーラーではなく、ヒーラーとは程遠い嫌味な性格と態度で、鎧剣士のアルヴィンをいつもイライラさせます。
カーラがアルヴィンを”偶然にも”呪ってしまったため、二人は一緒に旅をすることになり、小さなパーティーを結成して、この地を探索することになります。

他にも、アルヴィンの素顔が視聴者に明かされないというギャグや、各話の名前が100文字以上というとんでもない長さであることなど、コメディ的な要素はシリーズを通していくつか存在しますが、風変りさと無理矢理感のある設定がこのアニメの基本となっており、特にカーラの、一見無自覚に見える、いかにもマンガ的な侮辱的言動がこのアニメの中心となっています。



しかし、『このヒーラー、めんどくさい』の最大の問題は、そのタイミングのセンスです。最初の2、3話こそアニメの新しさもあって、ジョークの大半は先に述べたような土台で構成されていましたが、それが好感触として伝わっていました。
つまり、カーラは、彼女のヒーラーというクラスタイプとは全く相反する、とどまることのない、偶然的に発する意図的煽り(時には魔法)による攻撃でアルヴィンをいらつかせるが、それでもある程度は機能していました。

しかし、シリーズが進むにつれて、これらのジョークは陳腐化し始めて来ました。視聴者は、カーラが最悪の人間であり、旅の仲間としてはさらに最悪であることを十分分かっています。同様に、自信過剰のアルヴィンが、その仕事の下手さゆえに剣士としては他に類を見ないほどひどい事を知っています。
各エピソードがこの現状のまま、さらに、これらの繰り返しのジョークを長い時間かけて何度も何度も繰り返す癖があり、視聴者にとってみるとギャグのオチを待たされて…待たされせて…結局すでに予想できたオチを見る羽目になるのです。

言うまでも無い事ですが、視聴者がイライラせずに見られるのはそんなに多くありません。
ジョークの中には、ある程度時間をかけて話を構築し、それからオチへ持っていくという事は確かにあります。
しかし、『このヒーラー、めんどくさい』のテンポは極端です。
さらに悪いことに、このような展開に見合うほどジョークそのものが強くないので、視聴者は、ジョークがオチに到達するまでに、腹を抱えて笑うよりも、弱い笑いを漏らす可能性が高いのです。

ほんの少しの(似たような)ジョークを各話に何度も散りばめるよりも、『このヒーラー、めんどくさい』は、ファンタジックでありながら敷居の低い設定とトーンを生かし、『らき☆すた』や『あずまんが大王』、『月刊少女野崎くん』のような四コマ漫画のアニメ化作品のようにいくつかの気の効いた展開や寸劇を早く次々と披露していく方が良いような気がします。
このアニメは現状では、JRPG版の『はんだくん』や『坂本ですが?』と言った感じになっています。
『坂本ですが?』……残念ながら、その過程で大きく弱体化してしまいました。

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