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『魔法少女まどか☆マギカ』以降、ダーク系魔法少女が一過性のブームとなった理由

『魔法少女まどか☆マギカ』以降、ダーク系魔法少女が一過性のブームとなった理由


なぜ、『まどか☆マギカ』に匹敵するほどの成功をおさめるダーク系魔法少女アニメが存在しないのでしょうか?  その理由を考えてみましょう。

『まどか☆マギカ』は、2011年冬に公開された魔法少女アニメです。第1話、第2話は、「また萌え要素のある青年向け魔法少女アニメか(個性的ではあるが)」と、あまり熱がこもっているとは言えない受け止められ方でした。
しかし、第3話の放送後、このアニメの物語そのものと視聴者のこのアニメに対する認識の両方が大きく変化します。第3話のラストの展開は、このアニメを、このジャンルだけでなく、アニメ界全体にとっても全く新しい何かなものとして定着していったのです。

その後、アニメの新番組が始まるたびに、少なくとも1つは『まどか☆マギカ』の成功に便乗したダーク系魔法少女アニメが放送されることになります。『結城友奈は勇者である』、『魔法少女育成計画』、『魔法少女サイト』などがその例です。
この傾向はさらに数年続きますが、やがて沈静化し、ほとんどの年はダーク系魔法少女ジャンルの新作は年に1本程度となりました。では、なぜ『まどか☆マギカ』のような作品が生まれなかったのでしょうか? 見てみましょう。

『まどか☆マギカ』に見る”衝撃”の要因

『まどか☆マギカ』第3話は、シリーズにとって大きな転換点となりましが、その理由は、誰もその結末を予想できなかったからです。この作品の設定に何か不穏な感じがあることは当初からさりげない形で示唆されていましたが、それがまさか主要キャラクター(マミ)の死につながるとは、ほとんどの視聴者は思っていませんでした。
実際、多くの視聴者は、マミがシリーズの後半で何らかの形で生き返ることを期待してさえいました。しかし、彼女は死んだままだったのです。そして、他の魔法少女たちもすぐに彼女の後を追うことになります。

その後の魔法少女アニメは、ダークなテーマをより前面に押し出し、大抵は第1話からダークなテーマを披露してきます。『魔法少女育成計画』のように、後々まで完全に(プロットの)手の内を見せなかったものでさえ、宣伝文句や公式のあらすじでダークなテーマを持つことを宣伝していたのです。
そのようなアニメでは、視聴者は最終的に暗い展開になることを既に”予期”しているのです。そのため、衝撃的な要素はもはや無いのです。

ダークな魔法少女というジャンル特有の「決まった型」

どんな人気ジャンルでもそうですが、ダーク系魔法少女というジャンルはすぐに決まった型に悩まされるようになり、『まどか☆マギカ』以降のシリーズには必ずと言っていいほど、典型的なパターンが散見されるようになりました。
視聴者を安心させる一見すると健全な雰囲気、色分けされた衣装を着たかわいい女の子たち、そして彼女たちが戦いに赴くときの背筋が凍るような雰囲気。そして何より、彼女たちがフリフリの衣装を身につけるたびに、常に死と暴力の恐怖にさらされるのです。



しかし、これらはこのジャンル特有の決まった型であるため、視聴者はそれを予想するようになりました。だから、(キャラクターグッズとして)市場価値のあるかわいいマスコットが女の子達に急に態度を豹変させ、暴力を奨励し始めたとしても、それは衝撃的なものにはならないのです。
少女たちが互いに敵対し始めるのも、同様に予想されることです。少女たちが死に始めたら、まあ、この場合、むしろ誰も死なない方が驚きです。この手のアニメ特有の重苦しい暗さは、この手の作品があまりにも多いため、もはやエッジの効いた、あるいはユニークなものとは見なされないのです。
破壊的なものでもなければ、クールなものでもないーこれこそ『まどか☆マギカ』が上手くやってのけた事ですが。

ダークな魔法少女アニメ、ダークになり過ぎ

『まどか☆マギカ』はダークなシリーズでありながら、最終的には希望のメッセージを持っています。しかし、他の多くのダーク系魔法少女アニメは、その暗さが放送期間中ずっと続いていて、明るい部分があったとしても、ほんのわずかなものです。
『魔法少女育成計画』はサバイバルアクションで、主人公たちがやっている「ゲーム」の正体が明らかになると、あっという間にハエが落ちるようにメインキャラ達が死んでゆく展開になりました。
シリーズが進むにつれて、登場人物たちがあっという間に淘汰されていく様子に、関心を持ったり応援したりすることがどんどん難しくなっていきました。

『魔法少女サイト』は、主人公を拷問することに喜びを感じ、彼女の人生を可能な限り悲惨なものにするために、あらゆる手段を講じるような作品でした。『魔法少女特殊戦あすか』は、陰惨なダーク作品でありながらファンサービス(セクシーな描写を多用する事)を重視し、もはや魔法少女アニメとは思えないほどです。

これほどまでに殺伐としたアニメを、なぜ視聴者が見る必要があるのでしょうか?。死体が山積みにされ、状況は悪化の一途をたどるだけなのに。一見、大きな瞳で理想主義的な主人公は、すべての希望を失い、かつての彼女たち自身がそうであったように自分の殻に閉じこもってしまう。
(ダークになり過ぎたアニメの)クレジットが流れます。しかし、それは『まどか☆マギカ』やジャンルとしての魔法少女アニメのメッセージの核心ではありません。最終話で、まどかは希望と理想を持ち続け、過去と未来のすべての魔法少女を救うことができます。
まどかの犠牲の上に成り立つほむらは、まどかの希望に満ちた精神が、彼女や視聴者を勇気づけ、戦い続けます。

まどか☆マギカの比類なき遺産

『まどか☆マギカ』の物語は、13話の放送で終わりません。その後、3本の映画、アニメを原作とする携帯ゲーム、マンガ、さらには小説化され、全く新しいキャラクターを登場させるスピンオフ作品もいくつか登場しました。
『まどか☆マギカ』は、原作がアニメで、しかもやや地味に始まったにもかかわらず、現代における最大の魔法少女シリーズとしてメディアミックス化され、発売から10年以上経った今も新たなファンを獲得し続けているのです。

『魔法少女まどか☆マギカ』は、その成功に便乗しようとした他の多くのダーク系魔法少女アニメに影響を与えたにもかかわらず、このジャンルの代表作として比類なき存在であり続けています。
しかし、『まどか☆マギカ』のようなダーク系魔法少女アニメは、近年ではあまり見かけなくなりました。トレンドに乗るのをあきらめたようです。
もし、『まどか☆マギカ』を超えるようなダークな魔法少女アニメが登場すれば、それは本当に素晴らしいことだと思います。しかし、それまでは、魔法少女というジャンルにダークなテイストを求める人にとって、まどか関連作品はまだ多くのものを提供してくれるでしょう。

 

 

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