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『本好きの下剋上』3期 が示す強すぎる異世界主人公の人気の理由

『本好きの下剋上』3期 が示す強すぎる異世界主人公の人気の理由


『本好きの下剋上』の最大の魅力は、かわいくて脆弱な主人公を持つことですが、3期ではそれがいかに失望の原因になりえるかがわかります。

ーー 注意 以下は、Crunchyrollで配信中の『本好きの下剋上』3期のネタバレを含みます。 ーー

主人公が強すぎるというのは、異世界アニメによくあるパターンであり、このジャンルが人気を博した大きな理由の一つです。
ですが、『本好きの下剋上』』のように、強くない主人公にスポットライトが当たるケースもあります。
しかし、このアニメの3期は、強すぎる主人公がなぜ視聴者を惹きつけるのか、まさにその理由を示しています。

本作では、本の虫であるマインが、新しい世界を無数の本で埋め尽くそうと奮闘する姿が描かれます。しかし、残念なことに、少女の体は丈夫とは程遠いのです。
それどころか、病弱なため、町の外にすら出られない日々が続きます。弱々しい少女が、自分の目標に向かって境遇に抗して奮闘する姿は、このアニメの最大の魅力でした。
しかし、このアニメは後半になるにつれ、その魅力が失われていきました。

『本好きの下剋上』3期は、本を作るためにあらゆる困難を乗り越えていく少女という、いつもの定石から完全に外れたように見えます。その代わりに、主人公の弱さと無力さを強調させた造りになっています。
マインの決断は、特定の人物に影響されるか、状況に追い込まれるかのどちらかであり、どこかいいようにあしらわれる人になっています。
その結果、彼女は、助けを必要とし、助けを待つ乙女のような存在になってしまいました。これは、多くのアニメファンにはあまり喜ばれない傾向です。

今シーズン、マインが最初に直面した脅威は、彼女のインク工房を狙うインクギルドでした。彼らは真っ先に少女に敵意を示し、身体的危害を加えようとさえしました。
彼らははすぐに処分されましが、代わりにもっと凶悪な貴族たちが、あからさまに少女の誘拐と暗殺を企てますが、結局は失敗します。
マインたちが大きな被害を受けたのは、ビンデバルト伯爵がマインたちの守備の隙をついて潜り込んだときでした。



ダームエル、ギュンター、そしてフランまでもが負傷し、ジルヴェスターが姿を現したことでようやく収まります。この時、マインができた事と言えば魔法の盾で傷ついた仲間をかばう事と、新たに彼女の養父になったジルヴェスターに頭を下げることだけでした。
しかし、最悪だったのは、ジルヴェスターがマインを養子にする際の条件です。彼はエーレンフェストの領主なので、マインは自分の身分を捨て、新しい身分にならなければならなかったのです。
これは、マインの家族もマインと会うことを禁じられ、親族として認められなくなる事を意味します。これですら、マインの気持ちを考えれば、まだましとしなければならなかったのです。

(ヨーロッパの)中世風な世界を舞台とする異世界アニメでは、社会のヒエラルキーは共通のテーマです。主人公が強すぎるアニメでも社会的差別の問題が出てきますが、弱い主人公とは逆に、強すぎる主人公はその偏見を克服する傾向があります。

『盾の勇者の成り上がり』の尚文も、マインと似たようなジレンマを抱えていました。不遇な身分になっただけで社会から差別され、人に頼らず、自分の能力で出世して汚名を返上しました。『転生したらスライムだった件』のリムル=テンペストも、抜け目ない人間が自分の仲間を傷つけたことから魔王になろうとしました。

主人公の力が弱い異世界アニメは、それだけでプロットが悪いとは言えないのですが、多くのフラストレーションを伴う事があります。強すぎる主人公が持つ最大の特徴は、圧倒的なパワーであらゆる制約を打ち砕く能力であり、これこそ多くの視聴者が好感を持つ現実逃避のためのファンタジーと言えるでしょう。
愛する家族と離れ離れになることを余儀なくされた『本好きの下剋上』主人公マインをみていると、か弱い主人公がいかにもどかしい存在であるかを思い知らされます。

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