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ローカライザー(日本語→英語の翻訳者)が日本名をアメリカ名に変更することは、いつまで許容されるのか?

ローカライザー(日本語→英語の翻訳者)が日本名をアメリカ名に変更することは、いつまで許容されるのか?


名前が西洋化されるとき、その判断はいつ受け入れられるのか、都合の良いように情報を操作する不正な行為と変わらないのか、考えなければなりません。

愛着のある作品の翻訳やローカライズは、複雑な作業です。英語に翻訳できない言葉もあれば、母国語のほうがよく響く言葉もあります。
アニメのローカライズでは、英語圏の視聴者に響く言葉を探し、選ぶという難しい決断を迫られることもあります。

それらの中には時には、スラングからダジャレまで、さまざまな言葉が登場します。また、キャラクターの名前をまったく変えてしまうこともあります。
しかし、そこまでいくと、その判断はいつまで許されるのか、都合の良いように情報を操作する不正な検閲行為と変わらないのか、考えざるを得ません。

80年代後半から2000年代前半のアニメ、特に子供向けアニメの多くは、キャラクターの名前をアメリカ風のものに変更することがローカライズにとって適切であると考えられていました。
このような変更は、しばしばオリジナルの脚本の書き換えにつながり、結果、特定のキャラクターの性格を完全に修正してしまうこともありました。
その変化は時にあまりに大きく、ファンからすると元とは全くの別人になってしまうこともありました。
このような場合、翻訳をより分かりやすくしようとしたというよりも、日本のキャラクターをアメリカのメディアの基準に合わせようとしたように感じられます。
だからといって、すべての吹き替え版の名前の変更が本質的に悪いというわけではありませんし、実際、このような変更をうまくやってのけた翻訳もあります。

吹き替えの名前変更がうまくいった例として、『逆転裁判』シリーズがあります。この一風変わったビジュアルノベルシリーズは、登場人物全員がダジャレベースの名前を持っており、それがこのシリーズの特徴であるユーモアにつながっているのです。
これらの名前はすべて日本語のダジャレに基づいているため、英語圏のファンは、名前が翻訳されないままだと、そのユーモアの面白さを見ることができないでしょう。

カプコンの翻訳チームは、キャラクター名を西洋風にすることで、原作の笑いを残そうと、できる限りの工夫をし、成功させました。例えば、主人公の名字は「成歩堂(なるほどう)」ですが、これは英訳すると「I see」。
英語版では 「Wright 」になっていますが、これも「I see」と同じような意味で、法廷で真実を明らかにすることを誓う弁護人という役柄をより強調するものです。

もう一つの例は、アニメ化もされ、絶大な人気を誇るゲームソフト『ポケモン』です。『逆転裁判』と同様、多くのキャラクターが日本のダジャレに由来する名前を持ち、トレーナーのギミックやテーマに付加価値を与えています。
例えば、『ブラック&ホワイト』のサブウェイマスターは、日本版では「クダリ」と「ノボリ」という名前になっています。クダリは「外回り」、ノボリは「内回り」という意味で、車掌という職業にちなんでいます。
このダジャレは、英語の名前にも受け継がれています。Emmettは “emit(外へ放出)”、Ingoは “ingoing(内に入ってくる) “からきています。また、他の言語での名前も、ダジャレの意味をそのままに変更されています。

これらの例は、日本語の名前を英語圏の視聴者によりよく響くように翻案する正しい方法が実際に存在することを証明しています。4KidsやDiCのような会社が制作する吹き替え版の翻訳の問題点は、名前の変更がオリジナルの日本語版に込められた意味を反映していないことが多いということです。
例えば、『東京ミュウミュウ』の主要キャラクターの変更は、かなり悪名高い例です。



ミュウミュウたちは、食べ物をモチーフにした名前を持ち、それが彼らの特徴的な色や力、魔法少女のコスチュームに反映されています。「いちご」は “strawberry”,「ざくろ」は “pomegranate”、「プリン」は “pudding”、「れたす」は”lettuce”、「みんと」は “mint”を意味します。
それに比べ、『Mew Mew Power』では、女の子はみんな一般的な名前を付けられています。ゾーイ(Zoey)、レニー(Renee)、キキ(Kikki)、ブリジット(Bridget)、コリーナ(Corina)。そのため、彼女たちの名前には、日本語の名前ほどテーマ性がないのです。
彼らの名前を英語圏の視聴者に訳すには、食べ物をテーマにしたネーミングをそのままにした方がよかったでしょう。いちごとざくろの名前は果物に関連したものに変え、プリン、れたす、みんとの名前はそのまま直訳すればよかったのです。

ほとんどのアニメやメディアは一般的に、キャラクターの性格を視聴者に伝えるための物語ツールとして、名前を使うことがほとんどです。英語に翻訳されるアニメ、特に多くの人に見てもらうことを目的としたアニメでは、名前を西洋風にすることは正しい選択だと思われます。
しかし、最終的には、その名前をどのようにローカライズするかということになってきます。

『逆転裁判』や『ポケモン』の翻訳がうまくいっているのは、登場人物の名前の精神をそのまま残しているからです。それだけでなく、登場人物の個性もそのまま生かされています。フェニックス ライト( Phoenix Wright)は成歩堂 龍一(なるほどう りゅういち)と同じように真面目で努力家です。
エメット(Emmett)とインゴ(Ingo)は、クダリとノボリと同じように鉄道が好きな正反対の双子です。彼らの英語名は、それぞれのキャラクターが持つテーマを見事に反映しているのです。

『Mew Mew Power』(東京ミュウミュウ)、『Sailor Moon』(美少女戦士セーラームーン)、『Cardcaptors』(カードキャプターさくら)などはそうではありませんでした。
これが多くのファン、特により原作に忠実な翻訳で育ったファンからこれらの英語吹き替え版が好意的に評価されない理由の一つです。さらに悪いことに、名前だけでなく、キャラクターの性格も変わっていることが多いのです。

『Sailor Moon』のDiCの吹き替え版翻訳が『逆転裁判』に比べていかに偏ったものであったかを示す一例として、火野 レイを挙げてみましょう。英語版レイは日本版のレイよりも短気で、仲間との喧嘩が多く、優しい一面を見せる場面はほとんどありません。
日本語のフルネーム「火野 レイ」は「火の精」という意味で、彼女の燃えるような性格とマッチしています。DiCの吹き替え版での名前はRayeで、ヘブライ語で「雌の羊」を意味し、レイの熱血的な性格には全く合っていません。

英語への翻訳でキャラクターの名前や性格を台無しにしてしまうことは、以前に比べれば、はるかに少なくなりましたが、だからといって、完全になくなったわけではありません。
2015年にSaban Brandsが試みた『スマイルプリキュア!』のアメリカナイズは、タイトルを『Glitter Force』(キラリ隊?)に変更するまでに至りました。
Bang! Zoom Entertainmentは2014年に『ドラえもん』に同じことをしましたが、名前の変更は確かに『Glitter Force』ほど酷くなく、ほとんどの名前が典型的なアメリカの子供にとって短いか発音しやすいものに変更されただけでした。

今後、アニメの西洋化の試みがあるとすれば、『ポケモン』や『逆転裁判』のようなビデオゲームと同じアプローチであることを期待したいものです。一方、『Mew Mew Power』や『Glitter Force』などは、日本の財産を西洋化してはいけないという”輝かしい”見本となるはずです。

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