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ファンサブの消滅がアニメコミュニティにとって悪いことである理由

ファンサブの消滅がアニメコミュニティにとって悪いことである理由


90年代後半から2000年代半ばにかけてアニメに親しんだ人なら、アニメ配信が完全にファン主導で行われていた時代を記憶しているはずです。

それは、ファンサブ(fan subbing、ファンが代理で行う)の時代であり、その言葉通り、ファンがアニメを完全無料で翻訳していた時代です。

最近では、ほとんどのアニメはCrunchyrollやNetflixのような大きな会社によって配信されています。
他のメディアでは、特にマンガやゲームのスキャンレーション(scanlation、マンガなどをスキャナーでデジタル画像化し内容を翻訳すること)など、ファンによる翻訳がまだ存在していますが、新しいアニメ作品のファンサブを見つけることはますます稀になってきています。
このことがなぜアニメ界にとって大きな損失なのか、その理由を説明しましょう。

ユニークな「訳注」

日本語は難しい言語であり、英語に適切に翻訳することがほぼ不可能な用語が時にあります。そこで登場するのが「訳注」です。「senpai、先輩」「onii-chan、お兄ちゃん」「yokai、妖怪」などの意味を説明する小さなメモです。
多くの場合、その用語の教科書的な定義を上部に括弧書きで表示します。また、「keikakuとは、計画することである」というように、明らかに英語と同じ意味を持つ言葉にも訳注をつけるなど、自由すぎるほど自由な訳注をつけることもあります。

でも、そこにはプロの字幕にはない魅力がありました。訳注は、必ずしも情報提供のためにあるわけではありません。時々、翻訳者がコメントやジョークを挿入するのですが、これは現在でもマンガのファン翻訳に受け継がれています。
コメントやジョークにはバカバカしいものもありますが、それがファンによるファンのための翻訳であり、その理由は彼らがその作品をとても愛しており、他の英語圏のファンとその楽しさを共有したいからだということがよくわかります。

オープニング曲とエンディング曲の翻訳



サウンドトラックはアニメに欠かせない要素ですが、特にオープニングとエンディングのテーマ曲は大事です。ファンサブは、アニメのオープニングやエンディングは当然として、挿入曲の翻訳にも気を配っていました。たとえ数秒の曲であっても、訳し残しがないように全て翻訳していました。
中には、テーマ曲を複数のキャラが歌っていた場合キャラごとに歌詞の色分けまでしてこだわって翻訳をした人もいました。

最近では、ホームビデオの公式リリース以外で、公式字幕がわざわざオープニングやエンディングのテーマを翻訳することは非常に稀です。ましてや挿入曲を翻訳することはほとんどありません。しかし、これは仕事上の怠慢ではなく、むしろ音楽の著作権法がいかに厳しくなったかによるものです。
そう、アニメの挿入曲を翻訳するためには、まずはその権利を購入しなければならないのです。

ユニークで個性的なタッチ

プロが作る字幕とファンサブの最大の違いは、ファンサブはファンが理解しやすくなるように個人的な工夫が施されていることでしょう。
どのキャラクターがしゃべっているのかを区別するためにキャラごとにフォントを変えたり、オープニングやエンディングを一緒に歌いたいファンのためにカラオケ風のローマ字字幕にしたり、さらには日本語の用語についてもっと知りたい視聴者のために訳注にリンクを貼ったりしていました。

公式の翻訳には一定のルールがあるため、翻訳者が字幕を個性的にする自由度はそれほど高くありません。一般的には、翻訳文は単一色で統一されています。また、アニメが世に広まり認知されるにつれ、訳注の必要性も低くなってきました。
例えば、「tsundere、ツンデレ」「moe、萌え」といった言葉も、視聴者がその意味を理解していることを前提に、公式の字幕でそのまま使用されています。

公式字幕は、ファンサブが持っていたような魅力を持つことはできません。これは、ファンが翻訳する際、やり方にもっと自由があったからです。彼らは、より大きなアニメコミュニティのために無料で、そして厳しいガイドラインに従うことなく翻訳していたのです。
ファンサブは過去のものになったように見えますが、いかに著作権法が厳しくなり続けても、おそらくどこかで存在し続けているでしょう。

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