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谷口 崇(たにぐち たかし)氏の3つの短編アニメは、あなたの頭をスピンさせるほどワイルドです。

谷口 崇(たにぐち たかし)氏の3つの短編アニメは、あなたの頭をスピンさせるほどワイルドです。


谷口 崇氏は奇妙なスタイルのアニメーションと面白いプロットで知られていますが、この3つの短編は彼の最も奇妙な作品の一つでしょう。

谷口 崇氏は『おなら吾郎』を作る前、この地球が見た中で最も奇妙なアマチュア短編アニメーションをいくつか作っていました。
『ヌードバッター鉄雄』(2013)、『悪いのを倒せ!!サラリーマンマン』(2004)、『Mr.Stomach』(2011/12)も決して例外ではありません。
谷口氏のシュールで何か変なユーモアは、これらのONA(original net anime/Webアニメ)の無骨なアニメーションスタイルとプロ意識の欠如と相まって、うまく調和しています。

奇想天外な場面に遭遇した登場人物が単調な声で話したり、最も不適切な場面で名言が語られたりと、谷口氏は観客に衝撃と笑いを与えるべく、既成概念にとらわれない作品作りを行っています。

『ヌードバッター鉄雄』は全裸でホームランを狙う

谷口氏は『ヌードバッター鉄雄』で、スポーツアニメにありがちな状況に様々な風刺を加えています。高校野球のピッチャーが入院し、もう球を投げられないと嘆きます。
チームメイトが励ましの言葉をかけますが、スポーツアニメだとここで”名言 “が出てくるものです。しかしなかなか名言が出てこず、しまいにはナンセンスなものになってしまいました。
そこで主将の鉄雄は、傷ついた後輩に、鉄雄が裸でホームランを打てたら、後輩が手術に踏み切る、と約束させるのでした。

ーー「お前はこうゆう有名な言葉を知っているか? 神は試練を乗り越えられる者にしか…、試練を与えないので…、その試練を乗り越え…、られたという人は…、
その以前に乗り越えられるための試練を与えられたという事だから、それは乗り越え…、その人が乗り越えられる…、ほら、ほらー、だからあきらめるな。」ーー

この奇妙な行為に対して、登場人物たちは疑問を持たず、自己犠牲的で常識的な行動として捉えるのが谷口流なのです。
キャプテン鉄雄は、最初は性器を隠してバントのポーズをとっていましたが、2回のストライクの後、より効果的にボールを打てるようにと、結局全てをさらけ出します。
相手チームがピッチングマシンで鉄雄にボールをぶつけると、裸のバッター鉄雄はさらに狂気へと陥っていきます。するとどこからともなく謎のオールドマンが現れ、鉄雄の行動を説明すると、アニメは突然エンディングを迎えます。
納得のいく結論は得られないまま、視聴者は谷口のひどい歌声を聞くことになり、歌詞を聞くと彼は視聴者に「服を脱ごう」と誘っているのです。

『悪いのを倒せ!!サラリーマンマン』は、最も奇妙なコミック風の物語

谷口氏はこの2分間のONAで、日本のサラリーマンの典型的な退屈な日常にユーモアを注入しています。
サラリーマンが渋谷駅のホームで酔いつぶれたり、仕事をしているところを描写するのではなく、上司がマンガに出て来そうな悪役に社屋の縁にぶら下げられた危機に直面したところを描写しています。



この状況自体既、奇妙なわけですが、それでも不十分とばかりに、社長の早すぎる死の危機に対するサラリーマンの反応も奇妙なものです。サラリーマンたちは、まったく動じることなく、単調な声で、マントの男に「やめなさーい。」と言います。
その一方で、社長がくすぐられることを知ったサラリーマンたちは、「コチョコチョは止めろー!」と楽しそうに大声で叫ぶのです。これは先の単調で関心なさそうに言ういい方と対比的です。

幸運にも、そこにサラリーマンマンが応駆けつけ、悪役と対峙します。元カノに「サラリーマンマンだけには手を出すな」と忠告されていたという悪役は、すぐに逃げ出そうとします。しかし、サラリーマンマンは気流を発生させるビジネス用名刺を使い、すかさず飛んで追いかけます。
マンガのヒーローは、その身に宿す力を使って悪者を捕まえることが多いですが、サラリーマンマンはただ銃を取り出し、発砲するだけでした。まるでチームロケットのように悪者が退散すると、サラリーマンたちはサラリーマンマンの英雄的な活躍を称えます。

『Mr.Stomach』はリアリズムに基づき印象的

『Mr.Stomach』は、谷口 崇氏のミニシリーズ「つぶやき隊」全52話のうちの1話、6分のショートフィルムです。各エピソードは、特定の物や動物に焦点を当て、インタビュー形式で、彼らの人生や哲学を語っています。
これらの短編の多くと同様に、『Mr.Stomach』は主人公の独白に強く焦点を当て、最初に描かれたシーンから別のシーンに変わる事はありません。視聴者は、顔を持ち、話すことのできるMr.Stomachを見ている一方で、心臓のゆっくりとした鼓動が聞こえています。

ーー「人の金で食べたのかな。ムール貝とかいきなり来ちゃって、こっちがビックリした。えっあんまり処理したことないっすね、みたいな。人生初のもん来ちゃうとさ。ねー、鴨のソテーとかさ、滅多に食わない物をさー。こっちがビックリしちゃうの。
マニュアルに無いから。いつもこの人は牛丼とかカレーだなって。急にフカヒレ来て、あれー何ページでしたっけってなっちゃう。無い無い無いみたいな。取扱説明書無いから。」ーー

硬麺やグミの消化、持ち主の咀嚼不足など、自分の仕事の難しさを訴えるMr.Stomach。そして、消化のプロセスに関連する人間生活のいくつかの面を、漫才のように批評していきます。焼肉食べ放題、食後の別腹デザート、安物のジャンクフード、空腹時の冷たいビール、外国の料理など、全てMr.Stomachを攻撃しているそうです。
この独白が進むにつれ、Mr.Stomachは自分の主からの扱いの酷さや、自分に対する無関心さ、そして自分がしている仕事の過酷さにますます不満を募らせていくのです。

谷口氏のユーモラスな会話を作り出す能力は、この短編で本当に光り輝いています。谷口氏には印象的なキャラクターがたくさんいて、それぞれに面白い瞬間があるのですが、『Mr.Stomach』は谷口氏の作品集の中の他の多くのONAよりも、間違いなくより直接的な方法で人が実際に経験する事に触れています。
このしゃべるMr.Stomachを見るのはシュールな体験ですが、彼らの会話は大部分がリアリズムに基づいており、谷口氏の典型的な作風とはかなり異なっています。

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