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『東北東、十七の空』:UFOを探す日常の物語

『東北東、十七の空』:UFOを探す日常の物語


異世界の生命は存在するのか、存在するならば我々のことを知っているのか。水澤 弘史(みずさわ ひろふみ)がその真相を探るべく、空を見上げます。

『東北東、十七の空』は、2016年に公開された石川 耕大(いしかわ こうた)監督による15分の日常系短編アニメです。転校を控えた高校の友人たちが、自分たちの住む町に漂う奇妙な「空飛ぶオレンジ色の光」に遭遇する様子が描かれています。
水澤 弘史と友人の彰(あきら)が空に向かって見上げる中、視聴者は、二人は空よりむしろもう少し身近なところに目を向けるべきだったことに気づきます。

このONA(Original Net Animation)は上映時間が短いにもかかわらず、ゆっくりとしたテンポで進んでいきます。期待するようなレーザー光線によるアクションや空飛ぶ円盤の印象的な映像がないことにがっかりする視聴者もいるかもしれません。
しかし、異世界の存在についての物語を、やりすぎのアクションや陳腐な表現に頼ることなく、きちんと作り上げています。『東北東、十七の空』は、異世界の生命体が人間の存在を知ったらどうするかということを、見ている人が考えるだけの空間を提供し、雰囲気作りを試みています。

『東北東、十七の空』のプロット

水澤 弘史が深夜に勉強していると、窓からオレンジ色に光る奇妙な未確認飛行物体を目撃します(第一種接近遭遇)。正確に動いたり、方向転換したりするオレンジ色に光るその物体を観察していると、突然照明が消え、時計が止まり、ラジオから奇妙な音が流れ始めます(第二種接近遭遇)。
一連の奇妙な現象を知っている知識でうまく説明できなかった水澤は、その物体が異世界の宇宙船ではないかと考え、再びこれを目撃するため、野原に繰り出す決意をします。

水澤は友人の彰と涼(りょう)にこの怪奇現象を説明すると、3人はUFOを目撃するためにキャンプに行くことになります。しかし翌日、涼から忙しいので一緒に行けないと連絡が入ります。キャンプ中、水澤と彰は、通ってる高校が隣の高校と合併する話や、新しい高校に移ったら新しいクラブを作る話などをしながら、キャンプファイヤーを囲みます。
都会のように光害がなく、空がよく見えるにもかかわらず、宇宙船を見るチャンスはなさそうです。



居眠りをしそうな2人に涼から電話が入り、「ちょっと出かけることになって、しばらく戻れないんだ」と連絡が入ります。夏休みを一緒に過ごせないことにがっかりする水澤と彰でしたが、彼女の決断を理解します。涼が帰ってきたら何するか、3人で話し合っているうちに、涼が泣き出してしまいます。
水澤と彰の知らないところで、涼の背後に真っ白な光が現れ、「大丈夫ですか?」と謎の声がした後、その光はゆっくりと空に浮かび上がっていきます。その頃、二人のラジオには雑音が入り始め、空には信じがたい光景が広がっていました。

異世界の生命

SFジャンルのアニメは、一般的に繊細さが要求されません。宇宙人、宇宙船、レーザー光線バトルは、それぞれの物語をできるだけエキサイティングにするために、たいてい盛りだくさんです。しかし、『東北東、十七の空』は、人類が異世界の生物とどのように遭遇するかや、彼らが使う乗り物について、より「現実的」な解釈を与えるために、エキサイティングな要素に頼りませんでした。
地球外生命体が公然とあからさまに人間とコミュニケーションをとるという多くのフィクション作品がとっているアプローチの仕方ではなく、石川監督は、彼らはもっと秘密裏に事を進めるかもしれないということを強調することにしたのです。

しかし、無数の空飛ぶ円盤や奇妙な生き物を登場させることなく、この短編は一連の登場人物と彼らがする会話に大きく依存しています。悲しいかな、水澤、彰、涼の3人は特に特徴があるわけでもなく、彼らの議論には深い意味や重要性があるわけでもありません。
それどころか、彼らは単に平均的なティーンエイジャーであり、誰もが予想するような方法でまさに話し、行動します。その平凡さが、この作品のリアリティを高めている面もありますが、結果的に作品のエンターテインメント性を大きく削いでしまっている事も否めません。

とはいえ、『東北東、十七の空』の心地よい音楽と良く描かれた背景は、見る者を飽きさせないだろうし、ミステリー的な要素もあります。この世界や登場人物に引き込まれることは少ないかもしれませんが、石川監督は、第三種接近遭遇がどのように起こりえるかを考えてみる、ひとつの機会を提供することに成功しています。

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